あんがすの話



アンガスと聞いて御存じの方はどれくらいいらっしゃるでしょうか?
アンガスはイギリス原産の肉用種で正式にはアバディーン・アンガスといい、成長が早く肉質が優れていることで知られています。
粗飼料でも良く育ち丈夫であることも特徴です。
母牛のミルクも充分出るので子育て上手と言われ、我が家の放牧スタイルに適しています。
また、群れで生活する特性があり、放牧しても群れで移動するので管理が楽です。(時々いなくなる者のいますが)

私はデンマークで研修中(1984〜85)に共進会で初めてアンガスに出会いました。
雄のアンガスはそれは大きくて首が太くて恐ろしく思いました。
そのころは酪農の研修中で、アンガスを飼うことになるとは思いもしませんでした。

アンガスの外見の大きな特徴は角が無いことです。
日本に導入されて無角の和牛の改良に使われた記録があります。
山口県に数は少ないようですが残っているそうです。

そんな丈夫で飼いやすいアンガスですが弱点があります。
ピロプラズマという病気はダニを介して感染して命取りになることも少なくありません。
貧血になって治療が遅れると心臓発作で死んでしまいます。
母牛からの輸血が特効薬ですが何度もできないので、本当にこの病気には毎年悩まされます。
うちの牧場は母牛と子牛は放牧地で生まれて12月まで過ごすのですが、この病気を見つけると夫は投げ縄を手に私はもくしを手に牛を追いかけます。
普段人間と関係なく暮らしている牛たちは逃げ回り余計悪化することも。
すぐ捕まるのはよほど具合が悪いということで、本当にダニが出始めると初めて放牧する牛は目が離せません。

アンガスの繁殖はまき牛による自然交配をしています。
群れに雄の種牛が1頭入っていて、自分で発情の牛を見つけて交尾します。
4月から出産が始まるように種牛の投入時期を調整しています。
我が家では種牛をおたねちゃんと呼んでいます。
近親交配の心配があるので4年ほどで種牛は更新します。

牛の一生は放牧地で春に生まれて12月までおっぱいと草を食べて子牛は成長します。
夏のピロにも負けずに元気に成長すると12月に山から下して親と分けます。
離乳と言って突然お母さんと離れ離れになり1週間ほどモーモー泣いています。
親も同じで子供を探してモーモー泣くのでこの時期静かな牧場は賑やかになります。
親は落ち着いたらまた山へ帰ります。
子牛は雄は去勢をします。正直私の一番嫌いな仕事です。
最近は子供たちがいる時にするので私の出番は無くなりました。
子牛たちは肉用になるべく草以外のものを食べて体と胃を作ります。
育成期が終わると肥育期になり食べる配合が変わります。
生まれてから24カ月以上でお肉として出荷されます。
一部の雌牛は母さん牛となるべく残されて、種付けされ母牛として牧場で生活します。

私の牧場では東京のパルシステムと産直を行っていてコア・フードの牛肉として信頼関係の下、多くの組合員の方々に支持して頂いています。
私の牧場ではアンガスはあんがすとひらがな表記をすることで国産を強調しています。
それでうちの牧場の名前も内藤あんがす牧場と書いています。


                   あんがすの食べるもの